こんにちは。
飯田橋のカウンセリング・オフィス、サードプレイスのナカヤマです。
私は成人のセラピーを専門としていますが、子どもと話す機会もたまにですが、あるのです。
ヒメちゃんは11歳、キラキラした目がかわいい、活発な女の子です。
セラピーが好きで自分でもいろいろなセラピーを開発して教えてくれるのでした。練り消しを触っているとココロが落ち着くというので「練り消しセラピー」をすすめてもらったこともあります。ヒメちゃん曰く、練り消しを触りながらセラピーをするとより良い効果が生まれるそうです。
ある日、ヒメちゃんが質問してきました。
「ねぇねぇ、ナカヤマ先生」
はいはい、なんでしょうか(子どもと接するときに、おばあさんっぽくなるのは私だけでしょうか)。
「朝起きれなくって学校に行けないからお母さんに怒られるんだけどどうしたらいいかなって思って」
あら、学校に行けないばかりかお母さんに怒られるんじゃ、ダブルパンチだね。
「そうなの」
朝起きれないって言ったけど。
「眠くて」
そうか、朝は眠いものね。
「うん」
夜は何時にお布団に入っているのかなぁ。
「9時くらいに寝ましょうってなってる」「家族で一緒に寝るんだけど、私は12時まで眠れない」
ええーそれは大変だね。12時までお布団の中で起きているのってしんどいでしょう。
「うん。それにね、夜の11時にね、ゴーンって銅鑼の音みたいな地響きみたいな音が下の階から聞こえてくるの」
銅鑼の音みたいな地響き・・・・。なんだか怖いね。
「うん、すごく怖い。絶対11時にゴーン!ってなるの」
絶対11時に・・・。
「11時になってくるとすごくドキドキして、来る!来る!って思う」
わー。それはドキドキするし、怖いね。その中でどうしているの。
「早く寝たいから、お布団を身体にぎゅうぎゅうに巻き付けたり、頭を枕にゴンゴン!って打ちつけたり、目をぎゅうってとじて、息を止めたりするんだけど眠れないの」
そうか、自分でいろいろ工夫しているんだね。じゃあ、お布団の中でできるリラックスする方法を一緒に試してみようか。ここで練習して、お家で試してみて効き目があったらオッケーだし、効かなかったら他の手をまた練習しよう、それでどうかな?
どうして銅鑼の音がなるのかわからいままでしたが(しばしばセラピーの中では判断保留にならざるを得ない不思議なことが語られるのです)、この提案にヒメちゃんは同意し、かくして二人でヒメちゃんの安眠のための方策を探すことになりました。
「寝る子は育つ」と言いますが、子どもがきちんと寝られるかどうかは、子どもの性格というより、子どもを取り巻く環境にかかっているといっても過言ではありません。ヒメちゃんの家はお酒に酔っぱらったお父さんが夜遅くに帰ってきて暴れたり、お母さんと「バトル」したりすることが度々あったようです。
不眠に悩む大人と話していて、そういえば子ども時代から不眠だった、と気が付く人が割といます。そういう人たちは、ヒメちゃんのお家のように、お家の中が安全でなかったり、または眠るために必要なことを教えてもらってなかったりします。
眠るために必要なこととは、例えばお風呂に入ってサッパリするとか、着心地のいい寝間着を着るとか、寝る前に活動を控える(息がハァハァしないようにしたり、心臓がドキドキしないようにするってことです)とか、そういう睡眠に入る準備運動のようなもののことです。
さて、ヒメちゃんとは呼吸法や、手や足のあったかさを感じる練習(自律訓練法といいます)をしました。
お母さんやお父さんとも話し合いました。(こういっちゃあなんですが)銅鑼の音の正体かもしれないからです。
ヒメちゃんは前よりはちょっとは眠れるようになったそうです。オトナになったらもっとちゃんと眠れるようになると思います。
ヒメちゃんの就眠儀式(眠る前にココロを落ち着けるための一連の決まった動作)は練り消しセラピーでした。
箱から練り消しをそっと取り出し、ゆっくりと伸ばしたり、こねたりしてその感触を楽しんで、また大事に箱にしまうのです。
お布団に入って、指先についた甘い練り消しの匂いを嗅ぐと安心する、と話していました。
ヒメちゃんはまだ子どもだけど、本当に素敵なジブン・セラピストだと思います。
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ではまた!